【安冨 歩/生きる技法 青灯社】解説

安冨 歩 生きる技法

ブログ管理者紹介

HN:手品店長(てじなてんちょう) 30代前半男性。
18歳~22歳の間人生の暗黒期を過ごし、メンヘラニートとしてあらゆる〇傷行為、自〇未遂を行う。
3度のニート経験と4度の自〇未遂を経て生き延び、奇跡的に社会復帰に成功。
現在はその経験を活かし、かつての自分と同じ人を救うために活動している。
詳しくはプロフィール をご覧ください。

こんにちは、手品店長です。
以前、同じ著者のこちらの本を解説しました。

今回はその前に出た本、「生きる技法」という本を解説していきます。
1つの話の中に2つも3つも話題が織り込まれるので難解ですが、頑張って解説します。

全8章から構成されていますが、このうち「強く生きる魔法」に合ったものをいくつか解説していきます。
全ての解説を読みたい方は、こちらのリンクから是非買って読んでみてください。

安冨 歩/生きる技法

目次

この本の主題:自立とは多くの人に依存することである

「自立」に関してみんなが誤解していること

多くの人は、自立を「誰にも頼らずに生きて行くこと」と誤解しています。
しかし本書では、重度の障害をお持ちの方の例を引きながら、自立とは「他者に依存して生きる」事と定義しています。

先天性脳性小児マヒのため、手足がほとんど動かない小島直子さんという方の例を引いています。
手足が動きませんから、トイレもお風呂も自分でできません。

小島さんは多くの人の助けを借りながら、一人暮らしをしているそうです。これが自立だと本書は言います。
思わずギョッとしてしまう主張ですよね。まだ受け入れがたい…私もそう思います。

自立のイメージ

人は多かれ少なかれ、誰かに依存して生きています。身一つで山籠もりができる人は多くありません。
それすらも、山を維持している誰かに依存して生きていることになります。

「自立して生きよう!」と決意して、依存する相手を減らしていくとします。

人間関係を整理して、周囲から人がいなくなっても、絶対に切れない依存先が1人か2人残ります。
依存先をゼロにすることはできません。あなたが人間で、人間は社会性のある動物だからです。

もしその依存先から、「そんな風ならもう助けてやらないぞ!」と言われたら…?
言うことを聞かざるを得ないわけです。だって、この人に見捨てられたら本当に生きて行けなくなるから。

つまり、依存先を減らすと、他者に従属することになります。いわば奴隷です
他者の顔色を窺い、言うことを聞き、他者のための人生を生きることになります。

もしあなたが、人に助けてもらうことはいけないことであり、自分でなんとかしなきゃと思って抱え込んでしまう人であるなら、その考えこそが、あなたを人に従属させている原因だとご理解ください。

(中略)

しかし、自分が困っているときに、助けを求めることができないこともまた、未熟さの反映なのです。

26~27Pより引用

操り人形のイメージ

「助けてください」と言えたとき人は自立している

自立した人というのは、何でもかんでも自分でやる人のことではありません。
自分が困ったときに助けてもらえる人が周囲におり、そういう関係性を作る能力に長けている人のことです。

著者は中国で出会ったある人物の話を紹介します。
この人物は植樹活動をしており、いつもいかに緑を増やすか?ということを考えて行動していました。

にもかかわらず、得たお金を自分のために使うことは一切しませんでした。
報酬が入っても自分では一切手を付けず、苗木の購入などに充ててしまうのです。

持ち家とわずかな年金があるので飢え死にすることはありませんが、とても貧乏です。

周囲の人は、「お金を受け取らずに植樹に没頭する」というこの人の生き方に深い尊敬の念を抱きました。
ですから、色々な手助けをしようとします。彼はその手助けは喜んで受け取りました。

例えば、病気をすれば皆が大慌てでやってきて、治療のための手助けをします。彼はこの手助けは喜んで受け入れます。
彼はお金を受け取らないことで、「困った時の依存先」を大量に得ていたのでした。

彼は「困ったら誰かが助けてくれる」と信じており、何も恐れず植樹に没頭できています。
何も持たないことで、多くの依存先を得ています。それゆえに自立した生活ができるというわけです。

赤い旗にHELP!の文字

「自愛」と「自己愛」を区別し、自愛して生きる

「自愛」と「自己愛」の違い

ひとまず本文から引用します。

「自愛」①自らその身を大切にすること。

「自己愛」→ナルシシズムに同じ。

「ナルシシズム」①自己を愛し、自己を性的対象とすること。②転じて、自己陶酔。うぬぼれ。

60Pより引用

自愛と自己愛はこのように意味が違います。
人間、誰しも自分が一番可愛いものですが、自らその身を大切にできているでしょうか。

自己愛(ナルシシズム)

まず、自己陶酔やうぬぼれ(自己愛)によって行動すると、損失を被ったりメンツを失ったりします。
実力もないのにマラソン大会に出ればケガをしたり、リタイアしたりするでしょう。

うぬぼれていますから、自分の実力不足を棚に上げて原因を誰かのせいにします。
「完走できなかったのは前を走っているやつがコースを間違えたからだ!」のように。

そんなことをしていては他者から嫌われます。嫌われると依存先が減ります。
依存する相手がいなければ、他者に従属して生きることになります。これが自己愛の危険性です。

自愛

自愛とは、ありのままの自分自身を、ありのまま受け入れていることを指します。
人間も他の動物と同じように、自分自身を維持しようとします。

その「維持しよう」という欲求を受け入れ、従うことが自愛です。
そうして初めて、「自らその身を大切に」することができます。

「自己嫌悪していない状態」と言い換えることもできます。

自己嫌悪は結果ではなく原因ですから、自己嫌悪がなければ、常に自分を受け入れている状態になることができます。
参考:安冨 歩/あなたが生き辛いのは「自己嫌悪」のせいである。

心を守る手のイメージ

自己愛は自己嫌悪の埋め合わせ

自己愛によって生じる行動…例えば、熱心に化粧をしたりヘアスタイルを整えたり、
特別なブランド品を身にまとって、完璧になった自分を鏡で見て満足する。

これらは自己嫌悪の裏返し。いわば埋め合わせとして生じる行動です。

ありのままの自分を受け入れられていれば、化粧もブランド品も必要ありません。
自愛ができていないから、埋め合わせのためにあれもこれも必要になるわけです。

自己嫌悪のある状態はとても生きるのが辛いです。
自分のことがイヤでたまらないから、自分自身から逃げ出したくなります。

しかし自分から逃げることは不可能ですから、何とか自分の中にある理想に自分を近づけるしかありません。
それが自己愛となって、熱心な化粧や高額なブランド品に変わっていきます。
ここについて本書では、「自分自身を偽装してその姿に近づける」と表現しています。

自己愛の否定=自己嫌悪の否定=自愛

自己愛が自己嫌悪から生まれるのであれば、自己愛を否定することは自己嫌悪も否定します。
自己嫌悪していないということは、「自分自身を嫌っていない」ということです。

自分自身を嫌っていない。これは自愛です。
人間は本来自愛して生きています。自己嫌悪に陥っている赤ちゃんを見たことは無いでしょう。

人間は他者と関係を結ぶ中で、色々な制約や物事を身につけますが、その身につけるべきものは、自分の中ではなく外からやってきます。いわば、外部からの押し付けによって物事を身につけていきます。

その過程の中で、他者に期待されていた通りに身につけられないと、「自分はダメなやつだ」ということになります。
こういった目標や期待には限りがありません。どんどん高くなる目標に、「自分はダメなやつだ」が重なっていきます。

そうして自己嫌悪の塊が出来上がります。

しかし、身につけるという過程に自己嫌悪を伴う必要はありません。
自分に必要なものを自分自身で選んで、自分のペースで身につけていけるなら、それは自愛です。
「ダメなやつだ」と思う必要もなければ、他者の期待に応える必要もないからです。

大切なのは、今すでに自分自身が身につけているものを一つずつ確認し、
「これは本当に必要なものか?」と自問自答することです。

他者の期待のために身につけたものがあれば、それはそっと手放していく。
例えば、控えめで主張しないことが上手くやっていくための処世術なら、それを手放すなどです。

「そうすることで自己嫌悪から離脱し、自愛に近づく」、と著者は書いています。

自愛のイメージ

自己嫌悪について

「憧れる」の本当の意味

「憧れる」の古い形は「あくがる」です。
意味は「いるところを離れてふらふら歩く、さまよう」というような意味で、

もの思へば沢のほたるも わが身よりあくがれいづる玉かとぞみる

和泉式部(後拾遺和歌集一一六二)

という和泉式部の歌が知られています。

「恋に悩んでいると、ふらふらと飛びまわる蛍の光も私の心のように思えてきます…」
というような意味です。

「憧れる」は自己嫌悪の始まり

このように、憧れるというのは、「現状から離れている」
いるべき場所を離れてふらふらしている意味と捉えることができます。

こう考えると、憧れは自己嫌悪のから生じることがわかります。
現状がイヤだから、自分にはないものを持っている人に憧れるわけです。

その時、魂は今ここにあらずふらふらとさまよっています。
抽象的な喩えですが、ついてこれますでしょうか。これを前提に話を進めます。

魂があるべき場所とは、今の自分自身のことです。

「自分自身のことが好きになれない=誰かに憧れる」

この図式をまず理解しましょう。
今の自分自身がイヤだから、魂がふらふらとさまよって、誰かに憧れます。

何か(誰か)に強く憧れの気持ちがあるとすれば、それは大きな自己嫌悪が隠れている可能性があります。
憧れと自己嫌悪は表裏一体です。現状の自分を受け入れていないことに変わりはありません。

自分を鏡で見る

自己嫌悪は親や他人から受け入れられたもの

どんな家にも触れてはいけないタブーがあります。
両親の中は冷え切っているけど、表面上は仲良し家族に見える…というような場合です。

子供はこういうことを鋭敏に感じ取りますが、口には出しません。
口に出して言ってしまえば、今自分がいるこの家が崩壊し、居場所を失うことがわかっているからです。

ですから子供は自己防衛として、「こんなことを思うなんて私は悪い子だ」という気持ちを持ちます。
これが自己嫌悪の始まりです。元をただせば、夫婦仲が悪い親のせいで、子供は自己嫌悪を持たされたのです。

その悪い子が感じることは常に「悪い事」になります。
嬉しい事ややりたい事は全て「悪い事」になります。そう訓練されてきたからです。

人間が何かをするには、考えて、行動しなければなりません。
でもその過程が全て「悪い」で埋め尽くされていたら、上手く行くはずがありません。

自己嫌悪の状態では、何をしても失敗するのです。

自己嫌悪を抜け出すには

自己嫌悪とは、態度であり原因です。
あえて言葉を選ばずに言えば、「いつもウジウジしている」のが自己嫌悪です。

ですから、そういう態度を取らなくなれば、自己嫌悪との戦いも終わりです。
自信をもって、堂々と振舞うことができれば、自己嫌悪も憧れもなくなります。

でも、そんな簡単にできたら苦労しません。

だから周囲に依存して生きるのです。何があっても助けてくれる人を作って、
その人たちに助けてもらって生きて行くのです。そうすれば、自己嫌悪はなくなります。

人間の変化には恐怖や痛みを伴います。

自己嫌悪を乗り越える過程で、今まであった人間関係を断ち切る必要も出てくるでしょう。
そういう人たちは、自己嫌悪しているあなたを利用してきた人たちです。

つまり、あなたがウジウジしてくれていないと困る人たちです。
そんな人たちはこちらから切ってしまいましょう。

成長について

成長とは、生きる力の増大である

169Pより引用

赤ちゃんはミルクしか飲まないのに、どうして成長するんだろう…と、子育て未経験の私はいつも思います。
ハイハイして、歩いて、言葉を覚えて…赤ちゃんは徐々に生きる力を増大させていきます。

大人になったら肉体の成長は止まりますが、知識や経験を増やすことで、生きる力を増大させることができます。
判断力や意志力が養われて、色々なことに対処できるようになる…これが大人の成長です。

人は成長すると安心します。
昨日より今日のほうが、生きる力が増大しているのを感じるからです。

逆に、成長をやめると不安になります。
生きる力が日に日に失われていくわけですから、そりゃ不安になります。

成長を続けている人は心の安定を得て、成長をやめると不安が続きます。
しかし、どうやって成長していけばいいのでしょうか?

成長には努力が必要

大前提として、成長には努力が必要です。しかし努力の方向性を間違えると、ただの徒労です。
意味のある努力をしなければいけませんが、意味のある努力とはなんでしょうか…?

この本では、「それは一人一人が見出していくしかない」という回答でした。

私もそう思います。今の努力が自分に合っているかは、自分に聞いてみなければわかりません。
結局は自分の心に聞いてみるしかないのです。

自分のやっていることに意味があるかどうか、常に心に問いかけ、感じることが必要です。
これは自己嫌悪の状態ではできません。今の自分を受け入れられていないからです。

まずは今の自分を受け入れ、「今のやっていることは意味があるか?無意味か?」を判断する心をもちましょう。
そうすることで自己嫌悪を乗り越え、成長していくことができます。

最後に


安冨 歩/あなたが生き辛いのは「自己嫌悪」のせいである。

に続き、2冊目の解説でした。

  • 自立とは色んな人に依存して生きること
  • 自愛とはありのままの自分を受け入れること
  • 憧れは自己嫌悪の始まり
  • 成長のスタートは今の自分を受け入れること

以上がこの本で伝えたい大枠になります。他にも解説していない「友達」に関する記述なども
ありますので、気になった方はリンクから購入してみてください。安冨 歩/生きる技法

自立…はともかく、自愛は今すぐにでもできますから、チャレンジしてみるのが良いでしょう。

今の自分を受け入れ自愛し、生きる力を増大させて成長していく…そして、周囲には助けてくれる人が常にいる。
こんな人生を歩めたら、最高だと思いませんか。私はこれを目指していきたいと思います。

なかなか難しい本で解説に苦労しましたが、伝わったでしょうか。
質問などあればお答えしますので、各種SNSかお問い合わせフォームよりご連絡ください。

この記事があなたの助けになりますように。

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