こんにちは、手品店長です。
帯にあった「人生をラクにする27の格言」に惹かれて購入しました。
27個全てを解説はしませんが、私の思想やこのブログで書いていることに
近いなーと思うところのみ、抜粋して解説します。
生き辛さ、悩みを抱えた人…つまりこのブログの読者にピッタリな本ですので、
是非購入して読んでみてください。
考え方の変え方や悩みの捉え方、の勉強になります。
特に「気にしぃ」な方にオススメです。
はじめに
エピクテトスとは、奴隷出身の哲学者です。
脚が不自由で、自らを「脚の悪い老人」と揶揄することもあったそうです。
奴隷身分から解放されたあとは、移住した土地で教師として過ごしました。
そして、不安定な収入を得ながら思考を巡らせる日々を送っていたと考えられています。
著作は残しませんでした。
弟子によって書き留められたものを引用しながら本書は書かれています。
認識を正して「我々次第であるもの」のみを見る
エピクテトスの主張の大前提が、「我々次第であるもの」と「我々次第でないもの」です。
言い換えると
- 自分でコントロールできること
- 自分でコントロールできないこと
になりますが、まずはここを抑えていきましょう。
「我々次第であるもの」と「我々次第でないもの」
自由にいたる唯一の道は、
「我々次第でないもの」を軽く見ることである
34Pより引用
ストア派哲学の基本は、「我々次第であるもの」と、「我々次第でないもの」
の2つに分け、自らが目を向けるものを「我々次第であるもの」に集中することです。
つまり、「我々次第でないもの」は無視せよと言っています。
言い換えるなら、自分でコントロールできる物事だけに集中せよということです。
我々次第であるもの(自分でコントロールできるもの)
- 判断
- 欲望
- 意欲
- 忌避
我々次第でないもの(自分でコントロールできないもの)
- 評判
- 身体
- 地位
- 財産
それぞれこの4つが、自分でコントロールできるものとできないものです。
この境目を正確に見極めて、「我々次第であるもの」の範囲内に集中することとしています。
誰かを羨む心は誰もが持ちます。
SNSで格差が可視化されたことで、羨んだり、惨めに思えることもあるでしょう。
しかし、その地位や名誉、財産などは、あなたのコントロールの外にあります。
つまり「我々次第でないもの」です。
「いやいや、努力すれば手に入るじゃん」という声もあると思います。
しかし、それすらも誰かの介入や時の運など、どうしようもない要素が介在します。
ですから、エピクテトスはこれらを「我々次第でないもの」にとしています。
我々次第でないものには目を向けす、欲求を集中しないことが自由への近道と教えてくれています。
他人に期待したり、何かを望んだりしない
きみができること、まさにそのことに励めばよい
48Pより引用
家庭や職場の人間関係において、誰かに「こうなってほしい」とか、「こうだったら良いのに」
と思うことはよくあります。
しかし、他人がどういう振る舞いをするか、どんな人間になるかは、「我々次第でないもの」。
つまり自分のコントロールの外側にあります。
何かを望む時、それが「我々次第であるもの」かどうかしっかり考える必要があります。
その上で、自分にできることだけをすればいい。
それだけで人間関係はスッと楽になるというわけです。
どんなに辛い状況にあっても、自分の「意志」だけは自由にできる
病気は身体の妨げではあるが、意志の妨げではない
74Pより引用
私たちは、普段何気なく行えることに関して、特別に注意を払ったりしません。
歯を磨くときに腕や口の動きを意識しないように。
我々が自分の身体に対して意識を向けるのは、病気になったときやお金がないときなど、
何らかの外的要因で「自由」を奪われたときです。
ですから、我々は身体の状態と気分を結び付けて考えがちになります。
今日は身体が元気だから調子が良い、今日は熱があるから調子が悪い…。
しかし、エピクテトスはそれを許しません。
どんなに辛い状況にあっても「意志」は自由であり、その「意志」とは
自分が何をしたいのか、どれを優先するかなどの「行動」に結びついています。
つまり、どんな辛い状況でも意志は自分で選択できるし、そのための行動を取ることもできる。
と言いたいわけです。
感情の奴隷になることをやめる
すべての苦しみの原因は自分にあると知る
人々を不安にするものは、事柄それ自体ではなく、
その事柄に関する考え方である
84Pより引用
不安や怒り、悲しみや苦しみなど、負の感情に苛まれることが不幸の最大の原因であり、
人間は様々な出来事によって負の感情に苛まれるとしています。
例えば、今日は雨だから憂鬱だ、あのクレームのせいで朝から気分が悪いなど、
人間関係や置かれた境遇、起きた出来事などを理由に、感情を左右されがちになります。
しかし、エピクテトスはその見方を根本から引っくり返します。
つまり、出来事それ自体は善でも悪でもなく、我々を苦しめるものではない。
我々を苦しめるのは、その価値判断をくだす心である、と説きます。
要約すると、
こういうことになります。
つまり、考え方さえ変えられれば、たとえ雨の日でも楽しむことはできるでしょう。
たとえば、「先日買った新品の傘を持って出かけられる!」というように。
「感情の奴隷になることをやめる」とは、出来事は出来事として冷静に受け止め、
その上で自分の感情を選ぶことに他なりません。
目先の快楽を遠ざけ、ちょっとした苦労をする
快楽を遠ざけることで、どれほど君は喜び、
自分で自分を讃えることになるかわかるだろう
118Pより引用
エピクテトスは、ストア派の伝統に従って、次の4つを「悪しき感情」に分類しました。
- 恐怖
- 苦痛
- 欲望
- 快楽
ここで快楽を「悪しき感情」に含めるのは、人は楽なほうへ逃げがちであり、
本来やるべきはずだったことができなくなって後悔するからです。
私たちが悩むのは何も苦痛や恐怖だけではなくて、欲望や快楽によって
自らの進むべき道に狂いが生じたときにも、悩みが生じます。
せっかくの休みなのに、1日スマホ見て過ごしてしまった…などは現代的な快楽の1例ですよね。
快楽ばかりを求めていると、将来に大きなツケを払うことになります。
我々は頭でうすうすわかっていながら、目を背けてしまいます。
毎日、少しの快楽を遠ざけて努力することで得られる達成感や自信は、
何者にも代えがたいものです。エピクテトスはそういった態度を良しとしています。
目先の快楽に負けるより、打ち勝った自分のほうがよほど素晴らしい。
そういう方法でも自己肯定感を得られることを思い出させてくれる、良い言葉だと思います。
事前に心構えをしておけば、「不安」がグッと減る
「こんなに苦労することなんかなかった」
などとは決して言うな
124Pより引用
理不尽な扱いを受けたとき、「なぜ私がこんな目に遭うのか」と思ったことはないでしょうか。
それすらも「事前に心構えをしておきなさい」とエピクテトスは言います。
ある行為をすることで、どういう不愉快な思いをするか事前に考えておけということです。
人間嫌なことは考えたくないですから、これは負のイメージトレーニングをすることになります。
嫌ならやめておけば良いのですが、どうしても行かなければならない(やらなければならない)こともあるでしょう。
であれば、事前に心構えだけしておいて、あとはもう何が起きても仕方ないと割り切る。
事前に予想し、覚悟しておけば受け止めることも、我慢も簡単にできることでしょう。
そして、起こりうるリスクを想定し、その通りになったら心の中でほくそえみましょう。
その余裕が自信となり、さらなる自己成長へと繋がります。
人間関係を楽にする
ここでは、人間関係に関する格言を2つ紹介します。
相手を理解しようと努めることで、人間関係は楽になる
「傷つけられた」と君が考える時、
まさにその時点で、
君は実際に傷つけられたことになるのだ
132Pより引用
家庭でも職場でも、他人の態度や言動に振り回され、傷つくこともあるでしょう。
しかし、傷つくのはあなた自身が「傷ついた!」と思ったときだとエピクテトスは言います。
相手がとった態度や言葉は悪かったかもしれませんが、それは相手の一つの面に過ぎません。
先入観を捨て、相手を理解するよう努めているか?たとえ家族であっても、
100%心の底まではわかりません。そういった態度で相手を見ているか?ということです。
毎日顔を合わせているというだけで、その人の全てをわかった気になっていませんか?
あの時こうした、こう言ったというだけで、その人の好き嫌いを決めていませんか?
一度立ち止まって、「自分と相手はどういった関係か」考えることから始めてみましょう。
特に1対1の人間関係において、問題解決の糸口になるかもしれません。
承認欲求が人を奴隷にする
自分自身にそう思われるだけでよい。
それで十分である。
138Pより引用
愛されたい、好かれたい、認められたいなどの承認欲求は、人が持つ自然な感情です。
それ自体は誰にでもありますし、そのために他人の視線を意識することもあるでしょう。
しかし、行き過ぎた承認欲求は人を奴隷にします。
何としてでも気に入られたいと思うあまり、自らの行動理由を他者に握られるからです。
自分は本当はこうしたいのに、気に入られたいがために違うことをする。
これを奴隷と言わずして何というのでしょうか。
仕事でもプライベートでも、誤解を受けたり事実と違う評価をされることはあります。
あえてそうした誤解を受け入れて、認められようとしないこと(承認欲求を持たないこと)が、人間関係を楽にするコツであると言っています。
最後に
原則として、「我々しだいであるもの」と「我々次第でないもの」という考え方が根底にあります。
「我々次第であるもの」にのみ集中し、それ以外のことには目を向けない。エピクテトスの主張の根幹はこれです。
これだけでも人生は大いに楽になるでしょう。
例えば、
- 他人の言動
- 他人の行動
- 他人の態度
- 他人の評価
などは全て「我々次第でないもの」です。これに目を向けず、
自分自身に集中することができれば、人間関係のストレスはゼロになります。
簡単にできるようにはなりません。悩みながら、苦しみながら練習が必要です。
今までと違った考え方を受け入れ、行動に移すには勇気と時間が必要です。
しかし、こういった知識があるかないかで、人生の余裕は大きく変わります。
「あ、これは私にはコントロールできないな」と判断できれば、悩むことも減るでしょう。
実は紹介していない第4章があるのですが、そちらは是非、買って読んでみてください。
あなたの隣に、おせっかいなやつら──秘密結社リトルダンサーより🌟